2013.02.28 Thursday
35mmフィルムとブローニーフィルムの描写差実例
35mmフィルムは、その粒子感が引き伸ばされた時にとても美しく、独特の味のある表現ができます。一方、ブローニーフィルムはとても滑らか。大伸ばしをすると顕著なのはもちろん、L版サイズにした時点でも引き伸ばし率が大きく異なるため差が出ます。
このような35mmフィルムとブローニーフィルムの魅力の違い、描写の違いは、「中判カメラの教科書」にご登場してくださった市橋織江さん、熊谷直子さんもインタビューにて言及されていますし、ポパイカメラ石川専務も熱く語って下さっています。
誌面を作りあたり、同じ場所で35mmフィルム一眼レフと6×7の中判で撮り比べをしたのですが、思った以上に差があり驚きました。誌面だと少し伝わりづらそうでしたので、ブログにその写真を掲載します。
35mmフィルムで撮影
(Canon EOS-1v、EF50mm F1.4)
中判カメラで撮影
(FUJIFILM GF670)
だいぶ違うと思いませんか?
この撮り比べは遠景での比較でブローニーフィルムはキレイだなあという感じがしますが、35mmがダメというのではなく、人物を躍動感いっぱいに撮りたいときなどは35mmの機動力、速写性、粒状感などが物を言ったりします。つまり、カメラは適材適所。1台では完結しづらく、あれも欲しい、これも欲しいと思うのは自然なのことなのかと!(笑・昨日のエントリーと結論は一緒ですね)
2013.02.27 Wednesday
中判カメラは、趣味の世界で愛されるという、新たな価値観へ
「中判カメラの教科書」を作るにあたって、中判カメラの現状、使われ方の変化などについて考えることがありました。少し長文ですが、ブログに書かせていただきます。
いま、中判カメラは注目を集めているジャンルです。このデジタルカメラ全盛の時代に、中古カメラ店でも中判カメラの売れ行きは好調だと言われています。120フィルムを使用するカメラは、戦前のスプリングカメラや二眼レフなどから始まり、ライカ版と呼ばれ、映画用フィルムを元に製造された35mmフィルムの登場以降は、フィルム面積の大きな高画質のカメラとして、プロやハイアマチュア用のカメラとして発展していきました。発売当時はどの機種もとても高価。でも、いまはデジタルカメラ時代となったことで、中古の価格帯が大きく下落しています。そして、中判カメラが気軽楽しめるという時代が到来したのです。ハッセルブラッドなど手の届かなかった中判カメラが自分の物になる、というのは素直に楽しいことですよね。また、ペンタックス67やマミヤRZなどプロに愛用されたシステム性の高いカメラを一般撮影で使うというのも、新たなムーブメントでしょう。
中判カメラが買いやすくなったこと、またフィルムを取り巻く環境が変わったことで、楽しみ方にも変化が現れています。過去、スタジオでの使用がメインだったカメラも、風景スナップなどに使われることもありますし、リバーサルフィルムや現像所の減少に伴い、カラーネガでの撮影がメインとなっています。大きく重たい機種でも手持ちの撮影が主流で、ストラップなどもスタイリッシュにする人もいたりします。長年、中判カメラを使い続けてきた方から見ると、流儀に反していると目に写ることもありそうですが、プロやハイアマチュアのものから、気軽に使えるカメラへと変容したわけですから、ここから新たな中判カメラの価値観が形成されると考えればいいのではないでしょうか。つまり、使う側が自由に楽しむことが一番。このカメラで、こんな写真が撮られたのか、というような新たなインパクトが生まれるかもしれません。
確かに、カメラを所有すること自体もおもしろみになりますが、せっかくの中判カメラですから、その高画質はしっかりと味わいたいところですよね。例えば、カラーネガフィルムを現像し、データ化をしたとします。すぐにウェブなどで公開することができるので便利ですし、中判カメラで撮影をしていれば、そのデータもとても美しいと思います。でも、プリントとして見たときの美しさはもっと上。「中判カメラの教科書」を手に取ってくださっている方は、すでに中判カメラに興味があるという方々のはずなので、デジタルカメラとの描写の差異などは割愛しますし、人それぞれ美しいと感じる基準は異なると思いますが、フィルムで撮影した写真を印画紙にプリントをしたときの「深み」は、唯一無二のものではないでしょうか。ブローニーフィルムの現像と同時プリントができる写真店はありますし、郵送受付などもしています。また、さらに中判カメラのポテンシャルが実感できる大伸ばしプリントにも、ぜひ挑戦していただきたいです。
中判カメラは、フィルム1本で10枚前後ほどしか撮れません。容量いっぱいまで何百枚、何千枚も撮れるデジタルカメラとは根本的に異なり、10枚に対して、フィルム代、現像代、プリント代がかかります。でも、自然と被写体を選び取る作業、露出を決定する作業に集中力が増しますし、プリントされた写真は大切な記憶にもなるはず。例え失敗しても、次なる撮影の最高の教材にもなります。中判カメラは手頃になりましたが、撮り方とその後の処理も手頃になるのではなく、描写も最高で、写真に向き合う姿勢も得ることができるものとして接することで、より楽しさは増すのでは、と思うのです。
「中判カメラの教科書」では、ほとんどの機種が中古での購入となっている中判カメラの人気機種の紹介と使い方をメインに、ブローニーフィルムの取り扱い方、フィルム種の紹介などを行っています。ハッセルブラッドやローライフレックスとともに、プロ用途を念頭に作られた国産の中判カメラなども掲載しています。各機種の作例は、作品性ではなく、レンズの差がなるべく分かるようなものを目指したつもりですので、それぞれの写真ライフに見合う1台を見つけるきっかけになれればいいなと思っています。しかし、カメラによって撮れる写真、向く被写体に差はあるもの。「この1台に命を捧げる!」と思って購入しても、もう1台、さらに1台という連鎖反応が起こるのは常であり、その現象はみんなで仕方ないものと思うようにしたいですよね(笑)。
作例撮影中の様子(ローライフレックス使用)
男同士の撮り合いの様子と、その結果。
2013.02.26 Tuesday
2月27日発売「中判カメラの教科書」コンテンツ
2月27日発売「中判カメラの教科書」のコンテンツになります。このような内容となっておりますので、みなさまよろしくお願いいたします!
●ギャラリー&インタビュー
市橋織江「Cherish The Day」
熊谷直子「Volume 1」
濱田英明「Haru and Mina」
●ブローニーフィルムと中判カメラの基礎知識
ブローニーフィルム編
LESSON1 フィルムの種類
LESSON2 フィルムのサイズ
LESSON3 ブローニーフィルム図解
LESSON4 カメラのフォーマットで撮影枚数が変動
LESSON5 意外と重要な「スプール」
LESSON6 ブローニーフィルムの作法
LESSON7 フィルムパッケージの見方
LESSON8 ブローニーフィルムでの失敗例&失敗しないためのチョイ技
中判カメラ編
LESSON1 中判カメラの大別
LESSON2 中判カメラのシステム
LESSON3 35mmフィルムカメラとの描写の差
COLUMN 撮影の基礎知識
中判カメラ基礎用語集
●中判カメラ オールガイド 6×6編
HASSELBLAD 500 Series
Rolleiflex
PENTACON six TL
ZENZA BRONICA S2
Kowa SIX II
HOLGA120
クラシカルな蛇腹カメラを楽しもう!
クラシカルな二眼レフで6×6を撮ろう!
MINOLTA AUTOCORD III
YASHICA-MAT
MAMIYAFLEX C220
FLEXARET VI
RICOHFLEX NEW DIA
IKOFLEX IIa
SUPERB
二眼レフ図鑑
●中判カメラ オールガイド 645編
PENTAX 645NII
Mamiya 645PRO
BRONICA RF645
CONTAX 645
FUJIFILM GA645 Professional/GS645 Professional Series
COLUMN 6×9の特大フォーマットのカメラ
●中判カメラ オールガイド 6×7編
PENTAX 67II
Mamiya RZ67 PROFESSIONAL
Mamiya 7II
FUJIFILM GF670/GF670W Professional
ZENZA BRONICA GS-1
PLAUBEL makina67
●Lomographyのフリースタイルな中判カメラ
Lomography Belair X 6-12
Diana F+
LUBITEL 166+
●中判カメラ 誌上ワークショップ
カラーネガフィルム主要14種撮り比べ
リバーサルフィルム5種撮り比べ
白黒フィルム主要15種撮り比べ
ポパイカメラと考える、中判カメラとフィルムの価値
中古カメラのチェックポイントとテスト撮影
CAMERA fanで中古カメラを見つけよう!
プロラボTCKのレンタル暗室体験
マニュアル撮影に欠かせない単体露出計の使い方
三脚撮影のメリット
国内・海外の名作写真集で見る中判写真
中判カメラライフにおすすめのグッズ
Amazonは以下です。
↓ブローニーフィルムと中判カメラの基礎知識より
↓中判カメラ オールガイド 645編より
↓中判カメラ 誌上ワークショップより
2013.02.23 Saturday
2月27日発売「中判カメラの教科書」概要、そして市橋織江さんによる表紙公開!
2月27日に玄光社から「中判カメラの教科書」が発売されます!
これは、昨年出版した「フィルム写真の教科書」の続編的なムック。インタビュー中心だった前回とは異なり、古今東西の中判カメラの紹介&作例紹介に重点を置きつつ、ブローニーフィルムの仕組みや基礎、実際の撮影に役立つフィルム撮り比べなどを行っています。それは、中判カメラは昔と違い、とても買いやすい価格で売られ、プロやハイアマチュアのものから趣味の写真の世界で気軽に楽しめるものに変容したから。中判写真を楽しむには絶好の時代が到来したと思ったからです。ですから、これから中判カメラを使いたいなあという方にも楽しんでいただけるものにする、ということを心掛けました。
また、中判カメラの特集というと、ハッセルブラッドやローライフレックスを深く掘り下げるようなものが多いですが、本書は特定の機種を深く紹介するのではなく、購入しやすい国産の645&6×7や二眼レフなども平等に取り上げています。
さてさて、表紙撮影は「フィルム写真の教科書」に続き市橋織江さん。
表紙だけではなく、巻頭ギャラリー&インタビューにもご登場くださっております。掲載写真は市橋さんが手焼きプリントをし、構成はもちろんのこと、本誌用にギャラリータイトルも新たに考えて下さいました! 表紙は以下のような感じ。
次回の更新では、コンテンツをお伝えしたいなと思っております。それでは、よろしくお願いいたします!
2013.02.21 Thursday
富士フイルム、一部フィルム製造中止を受けて
本日2月21日、富士フイルムよりいくつかのフィルムの製造中止がアナウンスされました。その中に、王道フィルムと言われているプロ400の35mmが含まれており、以降、プロ400は120フィルム5本パックのみの存続となることが分かりました。
なぜ王道のプロ400が!とお思いの方も多いと思います。発表はいつも突然…。僕自身、かなりのインパクトがありました。そんなショックのさなかですが、「なぜプロ400Hが残る!」とか「プロ400Hもどうせまた…」というような疑問を持たれる方は多いと思うので、少しそれについて書きたいなと思いました。
富士フイルムの方はかねてより「プロ用ネガフィルムは、品質を維持しつつ、何とか銘柄の統合をしてでも残す」と言っていました。その結果が今回の選択だったいえるでしょう。
プロ400Hは海外では標準フィルムとして使われており、日本では海外向けのカラーバランスのため、個性的な写りをするフィルムという位置づけです。逆に日本が主力販売先のプロ400のカラーバランスは海外向きではなく、世界規模で見ると、プロ400Hの方が圧倒的に売れているのです。ビジネス面、そして品質を維持するためには、どちらか一方だけを残さないといけないとなったとき(この時点で、フィルム好きとしては悲しいわけですが…)、世界規模で戦えるプロ400Hが残ることになったわけです。仮に、プロ400を残すという選択をした場合、売上げで劣るプロ400もいずれ製造中止となり、共倒れになる、という判断が内部でなされたという話しです。つまり現状では、プロ400Hも追々、というわけではないと思われますが、ここからが再び勝負とも言えますね。もう、悲しい発表は嫌っす…。
富士フイルムは企業ですから、消費量が上がれば単純にフィルムは残ります。昔はフィルムしかなかったわけですが、いまはフィルム写真だけを楽しむ人、デジタルと併用の人、ときどきフィルムで撮るという人など、フィルムとの接し方もいろいろな時代となりました。写真の楽しみ方は人それぞれのスタイルがありますし、デジタルの方が優れているシーンもたくさんあると思います。
でも、プリントをしたときの美しさはフィルムの写真がナンバーワンという点は胸を張って言えることですし、アルバムに美しい写真を残していくことは、素晴らしいことであるのは揺るがないですよね。アナログカメラを触るのもスペシャルに楽しいですし。デジタルから入った人がときどきフィルムになるように、ときどきフィルムの人が半分くらいはフィルムになるように、楽しいフィルム写真の世界をみなで伝えられたらいいですよね。いやいや、とにかく消費量という情緒やら意義やらが通用しないものを相手にするわけですから、みなで楽しみつつがんばりましょう!
CONTAX RTS
FUJICOLOR PRO400
2013.02.18 Monday
GIZMON iCA5 & GIZMON iCA5 CASE & STRAP
本日はPRです。って書かないといけない風潮に乗っかってみました(笑)。
ユニークなカメラアイテムをたくさん企画・発売しているギズモショップ。中でも人気の高いiCA(アイカ。ライカ風のiPhoneケース)のiPhone5用がリリースされました。
詳細は以下。
商品名:GIZMON iCA5(ギズモン アイカ ファイブ)
対応機器: iPhone 5
発売日:2月1日(金)
希望小売価格:4,500円(税込)
ボディ内面にiPhone着脱時に傷から守る保護シートを貼った、またヘッドパーツのネジが取れにくくなったなど、iPhone4s用からスペックアップしているそうです。ルックスは相変わらずバルナックライカ風で個性的。「そのカメラ、なに?」と使っていると必ず声をかけられます。iPhone4Sで愛用していた、というiPhone5ユーザーの方も注目のアイテムですね!
そして、GIZMON iCA5専用のケースも2月15日(金)に発売となりました。ケースに入れると、もうクラカメそのまんま。茶と黒だけでなく、レッドとグリーンも順次発売開始予定とのことです。
詳細は
商品名 GIZMON iCA5 CASE & STRAP
セット内容 GIZMON iCA5 CASE & STRAP 1点
※GIZMON iCAはセットに含まれません。
対応機種 GIZMON iCA5 for iPhone5
カラー 茶・黒
素材 ポリウレタン
重量 33g (※iPhone5+GIZMON iCA5+GIZMON iCA5 CASE&STRAP : 202g)
ストラップの長さ 76.5cm〜94cm(最長)
保証期間 初期不良のみ交換とさせていただきます。
僕の個人的な好みはブラック×グリーン。ミリタリーテイストが出るのですごくいいなあと思いました。
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